追想五断章(米澤穂信)

追想五断章

追想五断章

帯に『初めて「青春去りし後の人間」を描く』とあるけれども、いつもの米澤節は健在。つまり、謎が解明されることで得られるのは、爽快感ではなく、虚脱感であるということ。真実を知ることは決して良いとは限らない。いや、良い/悪いということですらなく、ただただ、事実がそこにあるだけ……。
この読後感、クセになるんですよね。
ある女性の亡き父親が書いた小説を探すのがメインストーリー。読中、インターネットで検索すればいいのに!と思ったりもしたが、時代設定は平成4年。あえてネットの普及していない時代設定にしたのだろうか。